他社借入はなぜばれる?消費者金融が利用者の借入額を把握できる理由
消費者金融に申し込んだ時に審査に通らなかったり、これまで利用していた消費者金融で急に借入ができなくなったりする場合、他社からの借入が関係していることもあります。
では、なぜ他社借入は新たな申込み先や利用中の消費者金融にばれるのでしょうか。
大手消費者金融を始めとして、正規の登録を行って営業をしている消費者金融が利用者の借入額を把握できる理由について、詳しく見ていきましょう。
貸金業法に定められている指定信用情報機関制度が情報の把握に役立つ
正規の消費者金融は貸金業法などの法律を守っていますが、その中に指定信用情報機関制度という制度が設けられています。
それが、消費者金融に他社借入がばれる理由です。
では、指定信用情報機関制度とはどのような制度なのか、詳しく確認しましょう。
指定信用情報機関制度とは利用者の返済能力を把握するための仕組み
指定信用情報機関制度とは、利用者の返済能力を貸金業者が把握できるようにするための仕組みのことで、内閣総理大臣の指定を受けた一定の要件を満たしている指定信用情報機関と呼ばれる機関が個人の借入に関する情報を集め、管理しています。
この制度は、以下のことを目的としたものです。
- 利用者のリスクを精緻に把握する
- 利用者の返済能力を超えるような貸し付けをしない
その目的を達成するために、以下の2つの業務を行う機関として内閣総理大臣の指定を受けているのが、株式会社日本信用情報機構(JICC)と株式会社シー・アイ・シー(CIC)です。
- 信用情報を収集する
- 貸金業者に対して信用情報を提供する
信用情報とは個人の借入に関する情報のことで、それを集めて管理し、必要に応じて提供しているのが指定信用情報機関ということです。
信用情報機関を扱っている機関に、もう1つ全国銀行個人信用情報センターがありますが、この機関は銀行・信用金庫・労働組合などが主に加盟していて、それらの企業に信用情報の提供を行っているので、貸金業法に関連する機関としては指定されていません。
貸金業者が利用者の返済能力を把握する流れ
それでは、貸金業者はどのようにして利用者の返済能力を把握しているのでしょうか。
2、貸金業者は指定信用情報機関に申し込み者の情報を問い合わせる
3、指定信用情報機関が貸金業者に対して信用情報を提供する
4、貸金業者はその結果を受けて融資を行うかどうかを決める
5、貸金業者は利用者の信用情報を加盟先の指定信用情報機関に提供する
その際に提供される信用情報には、以下のようなものがあります。
- 借入をしているのが誰か
- 契約内容
- 利用残高
- 返済状況
このように、個人の借入に関する情報が客観的に示されているのが信用情報で、利用者の信用を判断するための情報の1つとして利用されているのです。
信用情報を紹介すれば他社からの借入もわかる!
指定信用情報機関に情報の問い合わせをすると、誰が借入をしているのか、その人がどのような契約をしていて利用残高や返済状況がどうかなどがすべてわかる仕組みになっています。
だから、ある消費者金融に他社から借入があることがばれるわけですね。
ここで、貸金業者が利用者の信用情報を加盟先の指定信用情報機関に提供するのなら、2つある指定信用情報機関のうち片方の情報しかわからないのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
そのため、どの業者で借入をしていても、借入があることや借入額などがわかるのです。
審査が行われるのは申し込みの際や途上与信の時!
それでは、信用情報の照会はどのようなタイミングで行われるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
申し込みの審査の時に信用情報が確認される!
先ほども確認したように、貸金業者は利用者の返済能力を把握するために申し込みを受けたら指定信用情報機関に信用情報の問い合わせをします。
つまり、このタイミングですでに他社から借入をしている人はそれが申し込み先の消費者金融に知られるわけです。
返済能力が無いと思う人にお金は貸せないので、申し込みの審査の段階できちんと情報を確認し、お金を返すことができそうだと思う人にだけ融資を行います。
一度契約をした人に対しても定期的に審査が行われている!
消費者金融で審査が行われるのは、申し込みの時だけではありません。一度契約をした人に対しても、定期的に審査を行うことで申し込んだ時と返済能力に変化が無いかを確認しています。これを、途上与信と呼んでいます。
大手消費者金融では、利用限度額の範囲なら繰り返し借入ができる融資の形式が取られているので、大手消費者金融との契約は長期に渡ることになります。
そのため、途中で何らかの変化が起こる可能性もあることから、返済能力の範囲で貸し付けができているかを確認しなければいけないということです。状況によっては、貸金業法で途上与信が義務付けられる場合もあります。
- 1か月の借入額が5万円以上で借入残高が10万円以上の場合は毎月
- それ以外で借入残高が10万円以上の場合は3か月ごと
この条件に当てはまらない時は、借入先の業者の取り決めによって途上与信が実施されます。いずれにしても、途上与信が行われないことはないということです。
途上与信では、以下のようなことが確認されています。
- 借入をしている業者での利用状況
- 他社借入の状況
借入をしている業者で延滞はないか、返済がきちんと進んでいて残高が順調に減っているかなどを確認するのと合わせて、他社での借入状況が変化していないかもチェックします。
つまり、途上与信でも信用情報の照会が行われるんですね。
だから、ある消費者金融に申し込んだ後で他社からの借入をしたり、借入金額が増えたりした場合でも、やはりその消費者金融に他社借入がばれることになるのです。
借入可能なのは年収の3分の1まで!その影響で審査落ちすることも
他社借入が消費者金融にばれることは、申し込みの際の審査や途上与信にどう影響するのでしょうか。詳しく確認しましょう。
貸金業法では個人が借りられる上限の金額も決められている!
貸金業法では、個人が借り入れができる金額をその人の年収の3分の1までと決めています。この仕組みを総量規制と呼ぶのですが、これはお金を借り過ぎることで返済不能に陥る人を減らすことを目的として導入されたものです。
これまでの融資の状況を元に、年収の3分の1までにおさまれば返済が可能なのではないかということで決められた割合です。
だから、この金額を超える融資が制限されているんですね。
問題があれば審査に落ちることも!
法律で、年収の3分の1を超える融資が禁止されているのは、利用者の返済能力を超える貸し付けをしないためです。
そのため、以下のようなことがあると、返済能力に問題があると判断されて、申し込みの際の審査に落ちたり途上与信の結果新たな借入ができなくなったりします。
- 他社借入の金額が多い
- 他社借入の件数が多い
- 他社借入の返済が滞っている
借入金額が多いと、法律の定めである年収の3分の1に近づきます。その関係もありますし、またお金は借りれば借りるだけ返済が難しくなることもあって、年収に対して高い割合の金額をすでに借りていると返済能力が問題視されます。
借入額はそれほど多くなくても、借入件数が多い場合は信用が低いと思われてしまいます。信用が高い人は、1つの消費者金融からまとまったお金が借りられますが、そうでないと利用限度額が低めに設定され、その結果あちこちから借りることになる場合が多いからです。
また、あちこちから借金をすると、返済額や返済日がそれぞれ違うことから返済の管理が難しくなります。さらに、お金に困ったらすぐに借入をする人だと思われることもあって、印象は良くありません。
すでに他社で借入の返済が滞っている場合は、もう返済できる余裕がなくなっているということなので、新たに借入を申し込んでもまず審査には通りませんし、今借入をしている消費者金融から新たな融資が停止されることもあります。
延滞に関してはどこで借入をしていてもばれる!
総量規制は貸金業者が守っている法律に定められていることなので、貸金業法で言う年収の3分の1 の金額に含まれるのは、貸金業者からの借入のみです。そのため、銀行のカードローンを利用している場合など、貸金業者以外からの借入は、借入総額には含まれません。
ですが、延滞に関しては重要な情報なので、株式会社日本信用情報機構(JICC)と株式会社シー・アイ・シー(CIC)、そして全国銀行個人信用情報センターの3つの信用情報機関で共有されます。
この情報交流ネットワークを、CRINと言います。
そのため、延滞についてはどこからの借入でもばれるということです。
他社からの借入は必ずばれる!借り方に気をつけてスムーズな利用を
だから、他社からの借入は必ず利用中の消費者金融にばれるんですね。
申し込みの際の審査や途上与信のタイミングで他社からの借入についてチェックが行われますので、すぐに借入が知られるわけではなくてもいずれわかります。そして、問題があれば、申し込みの審査に通らない、融資が停止されるといった対応が取られるのです。
そのため、無理な借り入れをするのではなく、必要な時に必要な金額だけお金を借り、余裕がある時は集中的に返済するなど、お金の借り方に気をつけてスムーズに消費者金融を利用したいですね。